また,この続きとして GNSS/GPS ロガーの比較(その2):GPS ログの比較(その5)というのを書いた。
GPS ログの比較第4弾である。 今回4種類のロガーを使ったが,そのうち2つは GPS ロガーと言うよりは,GNSS ロガーという方がいいので,GPS-GNSS ロガーの比較(その1)というサブタイトルを付けておいた。
使用したロガーは,
(1) Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unit,
(2) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー1号機,
(3) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー2号機,
(4) GARMIN 社製のポータブルナビ nüvi 3770V
の4つ(3種類)である。
今回も念のために3種類のロガーについて書こう。 1つ目は Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unitである。 これは MediaTek 社の MT3339 チップセットを心臓部に持つ GPS 受信ユニットであり,シリアル通信でログを吐くので,適当な記録装置があれば GPS ロガーとして使える。 これは GPS 衛星だけでなく,日本の準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)の衛星である「みちびき」の電波を受信でき,さらに,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える。 少し前に GPS ロガーを作ってみよう〜♪ という投稿を書いているので,詳しいことはそちらを見てほしい。 2つ目は GlobalTop 社が販売している Gms-g9 unitと,OpenLog, Power Cell を組み合わせた手製の GNSS ロガー である。これは2つ用意したので,1号機と2号機として区別している。 Gms-g9 は MediaTek 社の MT3333 チップを使った GNSS 受信ユニットである。 これはアメリカの GPS 衛星のみでなく,ロシアの GLONASS など他の衛星測位システム (GNSS) 用衛星の電波を使って位置情報を得るものである。 他にも,日本の「みちびき(準天頂衛星システム(QZSS))」の電波や,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える(はず)ユニットである。 Gms-g9については, Gms-g9 を使った GNSS ロガーに挑戦してみた と GNSS ロガー (Gms-g9 使用) の2号機を作る に書いているので,詳しくはそちらを見てみてほしい。 最後は GARMIN 社製のポータブルナビ nüvi 3770V である。 心臓部のチップセットは不明だが,GPS 衛星を捕捉する能力には定評がある GARMIN 社製である。 これも「みちびき」の電波を受信できる。 ナビなので液晶ディスプレイがあり,地図とセットで現在位置を表示してくれるので,知らない土地を走る時には心強い仲間である。 バイクへのマウントについては数回にわたって投稿を書いた。 具体的なことに関しては,一連の投稿の最後の投稿バイクにナビ作戦(その5):AQUA BOX による防水化 からさかのぼってみてほしい。
今回も3種類(4個)の GPS/GNSS ロガーを持って,紀伊半島にツーリングに行ってきた。 今回は前回(その3)と同様に国道371号線の酷道区間を走って比較しようと思った。 具体的には橋本から高野山までの区間と,田辺市木守から古座川町平井までの第二分断区間走ってみた。 さらに,林道将軍川線を走り,国道169号線で十津川村竹筒や北山村を通り池原ダム付近を走って帰る,という行程にしてみた。 詳しくは,ツーリングの記録で写真を見てみてほしい。地図上のルートは今回のルートマップで見ることができる。 4個の GPS/GNSS ロガーのうち,ナビの nüvi 3770V を除く3個は,登山用の小さなデジカメ用バッグに入れて,全てアンテナが上を向くように配置して走った。 今回もログをポイントを絞って比較してみよう。 それぞれのログは,適当な処理を施して Google Maps に表示できるようにした。 いずれも点の数が多いので,適当に間引く処理を行なっている。 ここではそれぞれのルートマップへのリンクは省略している。
(1) 国道371号線の田辺市大塔地区付近
Adafruit Ultimate GPS unit | GNSS ロガー1号機 | GNSS ロガー2号機 |
Garmin nüvi3770V |
(2) 林道将軍川線
Adafruit Ultimate GPS unit | GNSS ロガー1号機 |
GNSS ロガー2号機 | Garmin nüvi3770V |
(3) 国道311号線近露付近
Adafruit Ultimate GPS unit | GNSS ロガー1号機 | GNSS ロガー2号機 |
Garmin nüvi3770V |
(4) 国道169号線十津川村竹筒付近
Adafruit Ultimate GPS unit | GNSS ロガー1号機 | GNSS ロガー2号機 |
Garmin nüvi3770V |
(5) 国道169号線北山村付近
Adafruit Ultimate GPS unit | GNSS ロガー1号機 | GNSS ロガー2号機 |
Garmin nüvi3770V |
今回の結論:これらの結果を総合すると,今回の結果のみから判断する限り以下のことがわかる。 ただし,あくまで1回のログの結果なので,ここでの結果で全てを判断するのは危険であることを念頭に置いておいて欲しい。
(1) GNSS ロガー1号機が一番良いログを残している。特に山の中でもかなり道路に沿ったログを残している。
このログからだけで判断するのは多少危険だが,基本的に GNSS ロガーの方が GPS のみを使ったロガーよりも性能がよさそうである。
(2) 他の3個の中では,GPS ロガーと nüvi3770V は同程度の結果を残している。
しかし,道から外れる具合は異なっており,GPS ロガーの方が比較的道の形を再現しながら,
しかし横にずれている,という感じになっている。
(3) 同じ GNSS ロガーなのに,2号機の性能が1号機よりも大きく劣っている。
この違いはまだ判明していないが,1号機の GNSS チップを載せているユニットは高周波向けのメッシュアースの
ガラスエポキシ基板を使っているが,2号機は別素材のスルーホール基板であり,もしかしたら
電源+microSD 部の Microcontroller 付近から出るノイズの影響を受けているのかもしれない。
また,2号機 GNSS ユニットの Tx, Rx ラインが Gms-g9 への電源ラインをまたいでいるため,電源にノイズが入るのかもしれない。
これに関しては,2号機を改造して再びテストしたいと思っている。
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