2013年7月25日木曜日

GNSS/GPS ロガーの比較(その2):GPS ログの比較(その5)

今回は GPS, GNSS ロガーの比較(その1):GPS ログの比較(その4)の続きの投稿である。
また,この続きとして GNSS/GPS ロガーの比較(その3):GPS ログの比較(その6)というのを書いた。

 GPS ログの比較第5弾である。 しかし,徐々にメインが GNSS ロガーに移りつつあるので,GNSS/GPS ロガーの比較第2弾という印象の方が強い。 今回も前回と同様に3種類のロガーを使った。 そのうち2つは GNSS ロガーである。

使用したロガーを具体的に書くと,
 (1) Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unit
 (2) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー1号機,
 (3) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー2号機,
の3つ(2種類)である。

前回からの変更点として,
 (1) Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー1号機の電源+micro SD部を小さく作りなおした。
 (2) Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー2号機の GNSS 部を組み直して,できるだけシリアル通信のノイズが電源に入らないようにした。
の2点である。 今回はこの変更によって2つの GNSS ロガーがどう影響を受けたか,を知りたくて,テストのためにいつもの紀伊半島を走ってきた。

 今回も念のために2種類のロガーについて書こう。(前回のコピペやけど…)
1つ目は Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unitである。 これは MediaTek 社の MT3339 チップセットを心臓部に持つ GPS 受信ユニットであり,シリアル通信でログを吐くので,適当な記録装置があれば GPS ロガーとして使える。 これは GPS 衛星だけでなく,日本の準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)の衛星である「みちびき」の電波を受信でき,さらに,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える。 少し前に GPS ロガーを作ってみよう〜♪ という投稿を書いているので,詳しいことはそちらを見てほしい。

2つ目は GlobalTop 社が販売している Gms-g9 unitと,OpenLog, Power Cell を組み合わせた手製の GNSS ロガー である。これは2つ用意したので,1号機と2号機として区別している。 Gms-g9 は MediaTek 社の MT3333 チップを使った GNSS 受信ユニットである。 これはアメリカの GPS 衛星のみでなく,ロシアの GLONASS など他の衛星測位システム (GNSS) 用衛星の電波を使って位置情報を得るものである。 他にも,日本の「みちびき(準天頂衛星システム(QZSS))」の電波や,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える(はず)ユニットである。 Gms-g9については, Gms-g9 を使った GNSS ロガーに挑戦してみた GNSS ロガー (Gms-g9 使用) の2号機を作る に書いているが, その後改良を加えている。改良については書くかどうかを含めて,思案中である。

 今回もテストのために紀伊半島を走ってきた。 ルートは国道169号線を南下し,熊野川町畝畑まで往復し,その後,丸山千枚田を見てから,再び国道169号線で北上し, 途中から国道309号線の単独区間である旧行者還林道を走った。 詳しくは,ツーリングの記録で写真を見てみてほしい。地図上のルートは今回のルートマップで見ることができる。 4個の GPS/GNSS ロガーは,登山用の小さなデジカメ用バッグに入れて,全てアンテナが上を向くように配置して走った。

今回もログをポイントを絞って比較してみよう。 それぞれのログは,適当な処理を施して Google Maps に表示できるようにした。 いずれも点の数が多いので,適当に間引く処理を行なっている。 ここではそれぞれのルートマップへのリンクは省略している。

(1) 国道169号線の北山村七色付近
七色峡 Adafruit七色峡 Gms-g9 No.1七色峡 Gms-g9 No.2

 この区間は往路も復路も使用したルートであり,2本ずつ線がある。一応青が往路,赤が復路であり,往路は地図の上から来て,左下に向かった。 地図は順に,AdafruitUltimate GPS unit を使った GPS ロガー,Gms-g9 使った GNSS ロガー1号機,同 2号機となっている。 この区間では GNSS ロガー1号機と2号機は往路と復路にも差がなく,かなりいいログを残しているが,GPS ロガーは少し経路が乱れている。 特に地図の上半分で経路に乱れが見える。この区間は川沿いから地図の上端付近にある不動トンネルに向かって高度を上げていく区間であり, 山に囲まれて多少見通しがきかない区間となっている。 そのため,衛星の電波状況が悪かったと考えられる。

(2) 国道169号線の玉置口付近
玉置口 Adafruit玉置口 Gms-g9 No.1玉置口 Gms-g9 No.2

 この区間は GPS ロガーの比較で何度か出てきた場所である。新宮市玉置口付近の国道169号線である。 いずれも地図の上から来て,下に向かって走った。 ここでも GPS ロガーだけが乱れが大きい。 GNSS ロガー1号機と2号機はほぼ似たような経路を示している。 この区間では多少1号機の方がログが良い感じとなっている。

(3) 和田川に沿って走る和歌山県道 229 号線
和田川 Adafruit和田川 Gms-g9 No.1
和田川 Gms-g9 No.2

 この区間は全て和歌山県道 229 号線である。 地図の右から来て左下へ抜け,後で左下から右へと戻っている。 青い線が往路,赤い線が復路となっている。 この区間のログは,やはり GPS ロガーだけが乱れが大きい。 GNSS ロガー1号機と2号機に関しては,この区間では2号機の方がよいログを残している。 往路と復路の差も少なく,全体に道を素直に表している。

(4) 国道309号線の旧行者還林道区間
行者還 Adafruit行者還 Gms-g9 No.1
行者還 Gms-g9 No.2

 ここは国道 309 号線の旧行者還林道の区間である。 右から来て左上に抜けている。 この区間では,いずれのロガーもいいログを残している。 一部 GNSS ロガーに乱れが見られるが,その区間はトンネルの中であり,GPS ロガーはデータがないためにきれいなルートに見えている。 GNSS ロガーは乱れているが,本来衛星を捕捉できない区間なので,ロガーとしての評価には直接は関係ないと,と思っている。


 今回は GNSS/GPS ロガーの比較を行ったが,結論からいうと,GNSS ロガーの方が圧倒的にいいログを残すことがわかった。 やはり使える衛星の数が多い方が位置精度はいいみたい。 しかし,捕捉した衛星の個数などを比較していないので,もう少しログを見なおさないといけないかもしれない,とも感じている。 また,2つの GNSS ロガーには大差はなくなっており,このテストの前に行った改良がよかったことを示している。

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