また,FreeBSDでPerlMagick(その1)はじめにに目次があります。
(21) Fx (その2)
Fx について少し前の項目で書いたが,もう少し書いておこう。Fx はRGB の三原色を表すr,g,b の3つのチャネルと,透明度を制御するalpha チャネルの4つのチャネルの強度を別々に演算することができるもので,Image Magick の中でも特別なコマンドとなっている。そのため,Image Magick サイトのThe Fx Special Effects Image Operatorに専用のページがある。
このブログではFx の使い方として,すでに前回の記事で
[a] 白黒画像への変換((23) Fx:三原色の色チャネルの演算)
[b] 画像の半透明化((20) 図の一部を透明にする:TransparentとFx)
の二つの使い方を紹介した。ここではさらに進んだ使い方について書こう。
● ビットごとの演算(いずれも白いキャンバスを用意してから演算した。キャンバスの種類にはよらないはずだが)
例1:$img = $img->Fx(expression=>'i/w'); 例2:$img = $img->Fx(expression=>'(w-i)/w'); 例3:$img = $img->Fx(expression=>'j/h'); 例4:$img = $img->Fx(expression=>'i/w',channel=>'red');これらの例はビットごとの演算の一つである。下記に上記のコマンドの結果を示す。
・ 例1は横方向へのグラデーション画像である。ここでw はピクセル単位の画像の横幅であり,i はcolumn offsetと呼ばれているが,図の中の各点を表すピクセル単位の横座標である。例1では,点i にi/w という値を入れろ,と書いてある。対象となるチャネルはRGB の全てのチャネルである。つまり,左端の点(i=0 ) にはゼロを,右端の点(i=w) には1を入れる。その間は点の座標に比例した値を入れる。すると結果として,左側が黒,右端が白となるグラデーション模様になる。ここでは強度は0~1で表される。
・ 例2ではi/w の代わりに(w-i)/w を入れている。そのため右端が黒,左端が白のグラデーションになっている。
・ 例3では縦方向のグラデーションを描いている。h がピクセル単位で表した画像の縦幅であり,j が縦軸の座標を表している。
j の原点は上端なので,グラデーションは上端が黒,下端が白となっている。
・ 例4は例1と同じように横方向のグラデーションなのだが,red チャネルに対してのみ演算を行っている。
そのため赤の補色である水色が白に変わるグラデーションとなっている。
例1:点 i に i/w を代入 | 例2:(w-i)/w を代入 | 例3:縦グラデーション | 例4:赤チャネルへの グラデーション処理 |
例1:$img = $img->Fx(expression=>'(i/w)^4'); 例2:$img = $img->Fx(expression=>'sin(pi/2*i/w)'); 例3:$img = $img->Fx(expression=>'(exp(i/w)-1)/(e-1)'); 例4:$img = $img->Fx(expression=>'abs(cos(2*pi*i/w))');ここではべき乗やsin,exp などの関数を用いている。どんな関数が使えるかはThe Fx Special Effects Image Operatorを見て欲しい。
例1:(i/w)の4乗 | 例2:sinを用いた | 例3:expを用いた | 例4:absとcos |
以下の例では2次元の処理を行っている。
例1:$img = $img->Fx(expression=>'xx=i/w-.5; yy=j/h-.5; rr=xx*xx+yy*yy; 1-rr*4'); 例2:$img = $img->Fx(expression=>'rr=hypot(i/w-.5, j/h-.5); 1-rr*1.42'); 例3:$img = $img->Fx(expression=>'(1-(2*i/w-1)^4)*(1-(2*j/h-1)^4)'); 例4:$img = $img->Fx(expression=>'.5 - atan2(j-h/2,w/2-i)/pi/2');ここでrr は中心からの距離である。hypot 関数は2乗の和の平均を取る関数らしい。例3では四角っぽいグラデーションが作れる。
例1 | 例2 | 例3 | 例4 |
● 複数の画像を読込んでビットごとの演算Image Magick ではひとつの変数に複数枚の画像を読み込むことができる。それをFx で扱うこと考えよう。ひとつの変数に複数枚を読み込むには単に同じ変数に複数回画像を読み込めばいいみたい。注意点は,最初の読込みは参照する際に0番となる点。
$img->Set(size=>'160x120'); $img->ReadImage('xc:none'); # Fxでは,u[0] と参照される $img->ReadImage('xc:red'); # Fxでは,u[1] と参照される $img->ReadImage('xc:yellow'); # Fxでは,u[2] と参照される $img->ReadImage('xc:lime'); # Fxでは,u[3] と参照される $img->ReadImage('xc:blue'); # Fxでは,u[4] と参照されるこれらを使って以下のような演算をさせると,いろんな色を含んだ画像ができる(全部Image Magick のUsage のページに書いてあるんだけどね)
例1:$img = $img->Fx(expression=>'ar=hypot( i/w-.8, j/h-.3 )*4; br=hypot( i/w-.3, j/h-.7 )*4; u[1]*br/(ar+br) + u[2]*ar/(ar+br)'); 例2:$img = $img->Fx(expression=>'ar=1/max(1, (i-50)*(i-50)+(j-10)*(j-10) ); br=1/max(1, (i-10)*(i-10)+(j-70)*(j-70) ); cr=1/max(1, (i-90)*(i-90)+(j-90)*(j-90) ); ( u[1]*ar + u[2]*br + u[3]*cr )/( ar+br+cr )'); 例3:$img = $img->Fx(expression=>'ar=1/max(1, (i-50)*(i-50)+(j-10)*(j-10) ); br=1/max(1, (i-10)*(i-10)+(j-70)*(j-70) ); cr=1/max(1, (i-90)*(i-90)+(j-90)*(j-90) ); dr=1/max(1, (i-90)*(i-90)+(j-10)*(j-10) ); ( u[1]*ar + u[2]*br + u[3]*cr + u[4]*dr)/( ar+br+cr+dr )');ここでu[1] が1枚目の画像の要素,u[2] が2枚目の画像の要素,…,を表している。例ではわかりやすいように(ほんとに?)u[0] を使っていない。そのため0番として透明な画像を読み込ませている。5枚読み込んだ時に,u[5] とすると最初に戻りu[0] が参照されるらしい。u[-1] は最後の読込みを表すらしい。つまり引数は循環して適用されるってことやね。他にu[t] とするとcurrentイメージを参照するらしい。currentイメージってどうやって指定するんやろ?
例1: | 例2: | 例3: |
(22) LevelやGamma値の調整
ここでは画像の強度LevelやGamma値の補正について書く。と言っても,そんなに理解できてないので,自動調整と,Threshold を使ったものだけを書こう。例1:$img->AutoLevel(channel=>'All'); 例2:$img->AutoGamma(channel=>'All'); 例3:$img->BlackThreshold(threshold=>'50%',channel=>'All'); 例4:$img->WhiteThreshold(threshold=>'50%');ここでは,例1から順に,AutoLevel,AutoGamma,BlackThreshold 50%,WhiteThreshold 50% の例を示している。AutoGammaを施すとなんとなく画像が赤っぽくなっているような感じがする。BlackThreshold は指定された強度(ここでは50%) 以下の強度の点を黒にする。WhiteThreshold は指定された強度(ここでは50%) 以上の強度の点を白にする。
例1:AutoLevel | 例2:AutoGamma:ちょっと赤っぽい | 例3:BlackThreshold 50% | 例4:WhiteThreshold 50% |
例:$img->Gamma(gamma=>0.8, channel=>'Cyan');ここでは,上記の例2のAutoGammaを施したものに,さらに Cyan を 0.8 に減らす,という gamma 補正(言葉あってる?)を施している。結果はオリジナルにある程度近くなったと思う。しかし,いつもこの補正値でよいかは不明なので,いろいろと試しみてほしい。詳しいことはImage Magick サイトのColor Modificationsを読んでみてほしい。
AutoGamma 後に Gamma(0.8, 'Cyan') を施したもの |
(23) Negate:ネガを作る
ネガを作るにはNegate というコマンドを使う。$img->Negate(channel=>'All');PerlMagick の説明を読むといろいろオプションがあるようだが,とりあえずネガを作るには上記のようにすればよい。
オリジナル (160x120) | Negate |
(24) Posterize:色の種類を減らす
Posterize というコマンドを使うと,色レベルの種類(数)を減らして,ポスター調の画像を作る。コマンドは以下の通り。例1:$img->Posterize(levels=>4, dither=>'True'); 例2:$img->Posterize(levels=>4, dither=>'False');オプションのlevels についてはよくわからないが,10より大きな数字にすると,何をしてるのかわからなくなる。解像度にもよるかもしれないが,小さい整数がいいみたい。
オリジナル (160x120) | 例1:Posterize levels=>4 dither=>False | 例2:Posterize levels=>4 dither=>True |
(25) OrderedDither:ザラザラにするコマンド?
OrderedDither というコマンドを使うと,画像をザラザラにすることができる。ちゃんと意味を理解してないので,具体例を見てください。例1:$img->OrderedDither(threshold=>'h4x4a', channel=>'All'); 例2:$img->OrderedDither(threshold=>'h4x4o', channel=>'All'); 例3:$img->OrderedDither(threshold=>'h4x4a', channel=>'Green');オプションのthreshold の意味はよくわからない。誰か教えて~。きっとImage Magick のUsage のページを見れば書いてあると思うけど…最後の例は,対象をGreen チャネルだけにしてみた。
オリジナル (160x120) | 例1:Threshold=>'h4x4a' channel=>'All' | 例2:Threshold=>'h4x4o' channel=>'All' | 例3:Threshold=>'h4x4a' channel=>'Green' |
(26) 明るさの調整 : SigmoidalContrast
明るさの調整には,SigmoidalContrastというコマンドを用いる。$img->SigmoidalContrast(contrast=>'5', mid-point=>'0%');ここでもやっぱり細かいパラメータの値のことをまだ理解していないが,contrastはどの程度画像を明るくするかを表し,0だと何もせず,数値が大きくなると画像がより明るくなる。3が普通で,20だとやりすぎらしい。mid-pointの値はよくわからない。0%でも100%でもいまいち差が分からない。他にもsharpenというパラメーターもあり,コントラストを減らすには,このsharpenをFalseにするといいらしい。
オリジナル (120x160) | SigmoidalContrast contrast=>5 |
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