2013年6月14日金曜日

GNSS ロガー (Gms-g9 使用) の2号機を作る

 参考:Gms-g9 を使った GNSS ロガーに挑戦してみた:Gms-g9 を使った GNSS ロガーの1号機の話
 参考2: ランニングエレクトロニクス社製 Gms-g9 基板使用 GNSS ロガー 3号機の製作 :Gms-g9 を使った GNSS ロガーの3号機の話

 2013年の春にGlobalTop製の ロシアの GLONASS なども受信できる GNSS ユニットGms-g9 を買ってみた。 とりあえずテストしたいと思って,SparkFun 製の Power Cell と 同じくSparkFun で売っている OpenLog を使った簡易 GNSS ロガーの1号機を作ってみた。 しかし,使った基板が大きくて,持ち運ぶには少々大きいなぁ,と感じていた。 以前,同じく Power CellOpenLog を使い, AdafruitUltimate GPS unit を使って作った簡易 GPS ロガーと比べるとかなり大きい…。

 そこで,今回は GNSS ロガーの2号機を作ってみた。 と言っても,前回や GPS ロガーの時と同様に組み立てただけ,という感じだが…。 思想は簡易 GPS ロガーSparkFun 製の Power CellOpenLog を使い, 全体としてできるだけコンパクトを目指して作ってみた。 それでもそれなりの大きさはあるし,GNSS 部はむしろでかくなってるかも…。

 部品は GlobalTop製のGms-g9 と, Power CellOpenLogLiPo 電池とスイッチぐらいである。 GNSS ユニット自体や Power CellOpenLog に関しては,簡易 GNSS ロガーの1号機簡易 GPS ロガーを見てみてほしい。 今回の2号機のポイントは,
  (1) できるだけコンパクトに作りたい。
  (2) GNSS ユニットは独立した基板上に置く。
  (3) GNSS ユニットと電源+microSD 部をつなぐコネクタは,2ヶ所以上に用意して GNSS ユニットを安定させる。
  (4) Power Cell をオフにするスイッチは必須。
  (5) ノート型コンピュータから OpenLog にアクセスできるように OpenLog への電源ラインを簡易ジャンバーで切れるようにする。
  (6) ノート型コンピュータから OpenLog にアクセスできるようにコネクタを工夫する,
などである。

 特に気にしたのが OpenLog にノート型コンピュータからアクセスできるようにしておいた点である。 OpenLog をハンダ付けしてしまうと,そう簡単には取り外したりできない。 しかし,OpenLog 自体は結構便利そうだし,firmware の更新をしたくなるかもしれない。 そこで,OpenLog とノート型コンピュータをつなげるようにしたい,と思った。 OpenLog にノート型コンピュータからアクセスできるようにするには,まずは Power Cell からの電源供給を切った方がいい。 そのために (5) にあるようにジャンパー線で電源ラインを切れるようにしておいた。 また,GNSS ユニットと電源+microSD 部をつなぐコネクタとして,AdafruitUltimate GPS unit にならって 8 ピンのものを用意したのだが,それとは別に 6 ピンのものも用意しておいた。 そもそもは 8 ピンのコネクタだけだと上部の基板が斜めになっていまいちだったので,2箇所で支えが方がいいと思ったからなのだが, 折角使えそうなコネクタがあるなら,そこをコンピュータと OpenLog の接続用に使えばいいやん,と思い立ったのだった。 まぁ,ブレッドボードがあれば GNSS ユニットと電源+microSD 部をつなぐ 8 ピンのコネクタだけでもいいのだが…。

 GNSS 部は簡易 GNSS ロガーの1号機と基本的に同じ回路にした。 電源ラインにフェライトビーズとコンデンサでフィルター回路を入れ,Tx と Rx のラインに 330 Ωの抵抗を直列に入れておいた。 また,non-FIX に光る LED をセットした。 今回はふと思い立って緑色にしてみた。消費電力増えるかなぁ? まぁ,LED は衛星を捕捉するまでしか光ってないので,あまり消費電力には寄与しないはず。 また念のために PPS のラインをコネクタにつなげておいた。 電源+microSD 部も1号機と同じである。 電源部の Power Cell の出力電圧を 5 V → 3.3 V と変更し,Power Cell をオフに出来るスライドスイッチをつけておいた。 OpenLog はつないだだけである。

使ってみて:  今回は Gms-g9 を起動すると,Gms-g93D-FIX 端子に付けた緑色 LED が1秒ごとに明滅する。 これは衛星の捕捉ができるまで光っていて,捕捉ができると消灯する。 後は放置すればいいのだが,アンテナができるだけオープンスペースを向くように保持するのがコツといえばコツかもしれない。

消費電力:  前回同様,LiPo 電池での駆動時間について調べてみた。
 ・850 mAhLiPo 電池の場合の持続時間
   1回目:63525 sec (17:38:45) → I = 850/63525*3600 = 48.2 mA
 ・1000 mAhLiPo 電池の場合の持続時間
   1回目:70397 sec (19:33:17) → I = 1000/70397*3600 = 51.1 mA
なんと約 50 mA も消費している。 これは Gms-g9 1号機の 42 mA と比べるとあまりに消費電力が大きすぎる。 そこで気になったのがハンダ付けのヤニ。 SENA というメーカーのインターコム SMH-10 での電源トラブルで半田のヤニが端子をブリッジしていたのを思い出した,というのがその理由。 SMH-10 の時は10時間以上余裕でもつはずの LiPo 電池が1時間ほどでカラになってしまう,という症状だった。 そこで,今回のユニットの回路を見なおして,要所要所のヤニを削りとった。 特に GNSS ユニットの VCC と GND 間のバイパスコンデンサについてるヤニを丹念に削ってみた。 VCC と GND の間を直結しているので,影響が大きいと思ったからの判断だった。

その結果は以下のようになった。
 ・850 mAhLiPo 電池の場合の持続時間
   2回目:76263 sec (21:11:03) → I = 850/76263*3600 = 40.1 mA
 ・1000 mAhLiPo 電池の場合の持続時間
   2回目:91271 sec (25:21:11) → I = 1000/91271*3600 = 39.4 mA
結果としては約 40 mA という結果になった。 Gms-g9 1号機は 41 mA 程度の消費電流なので,Gms-g9 と OpenLog, Power Cell を使ったシステムは 約 40 mA を消費する,ということができる。 これは MediaTek 社の MT3339 チップを使った GPS ロガーと比べると 5 mA 程度多くなっている。

 この測定の時に気になることがあった。 実は 850 mAh の LiPo 電池を使った際,午後9時15分頃にスイッチを入れたのだが,データとして記録され始めたのは 23:34:34 だった。 なんと GNSS 衛星の捕捉に2時間20分もかかったみたい…。 それっておかしくないかぁ???? 衛星を捕捉するまでは窓際においておいて,一旦捕捉したら部屋の中央付近に移動させたが,最後まで衛星を捕捉し続けていたみたい。 どうも最初に捕捉するまでに時間がかかっている…。
 そこで,もう一度 1000 mAh の LiPo 電池を使って再挑戦してみた。 Gms-g9 2号機はバックアップ用のボタン電池をユニットの裏につけている。 つまり,前回の情報を記憶しているはず,という思いもあった。 そこで,念のために開始時刻を記録して始めてみた。 すると,スイッチを入れて1分ほどでログを取り始めた。 やはり素早い衛星の捕捉にはバックアップ電池は重要だということがよくわかった。 その点では Gms-g9 1号機は GNSS ユニット自体にはバックアップ用の電池をつけていないので,イマイチということになる。 Gms-g9 2号機で十分となれば,1号機は解体して Microcontroller と組み合わせて使うシステムに変えようかな?と思っている。

今後,さらに使い込んで,Adafruit社製の Ultimete GPS unitTransystem 社製の TripMate850Garmin 社製のナビ nüvi 3770v と比較してみたいと思っている。
追記) この間,2つの GNSS と GPS, を比較するために紀伊半島を走ってみた。 詳しい比較は後日書こうと思っているが,とりあえず GNSS ロガーは,1号機は Adafruit社製の Ultimete GPS unitGarmin 社製のナビ nüvi 3770v よりも性能が良かった。 しかし,2号機はむしろどれよりも性能が劣っていた。 同じ GlobalTop 社の Gms-g9 であり,回路図的には同じ周辺回路(電源ラインのフィルターと未捕捉を示す LED を付けただけ)にしたのだが, 明らかに1号機の方が性能がよかった。 1号機と2号機の性能差の原因はまだわかっていないが,可能性があるとすると,(1) 1号機は高周波回路用のメッシュアース基板を使っていた, (2) 2号機は GNSS ユニットの電源のフィルター部の真上にシリアル通信用の Tx, Rx のラインの 330 Ωの抵抗がある,の2点だと思っている。 対策としては,(a) 基板をメッシュアースのものに変更する,あるいは (b) 銅箔テープを使って,Tx, Rx ラインと電源ラインの間にグランド面を挟み, かつ裏にも大きなグランド面を作って電磁波シールドにする,という2案がある。 とりあえず2号機がうまく働いたら1号機はばらして Microcontroller と組み合わせて使おう,と思っていたのだが, 今は1号機の方が性能がいいので,2号機の改良,あるいは3号機を作成して,1号機と同等の性能が得られれば,1号機はお役御免にしようと思っている。 はてさて,どうなりますことやら。
追記2) 配線をいろいろといじってみた。一つはフィルター部をねむいさんお勧めの三端子コンデンサを使ったものに変更してみた。実際には村田製作所の1.5µFの三端子コンデンサと電源用の大きめのフェライトビーズを直列に入れた。そして,フィルター回路を変更した効果を見ようと思って,オシロスコープを借りて電源ラインのノイズを見てみた。すると,電源ラインのフィルターよりも電源よりで既にノイズの幅が 50 mV 程度だった。それってもしかしてフィルターいらない?フィルターの Gms-g9 側はむしろノイズ電圧が増えていた。時間変化するが 100 mV 程度出ている。GNSS ロガー1号機で見ると,フィルターの前後でノイズに目立った差は見えなかった。となると,2号機のフィルター後のノイズ電圧はなに?Gms-g9 から来てると思うのだが,1号機では出てないのになんで出るのかなぁ?よくわからないので,最初につけていたフィルター部品(小さめのフェライトビーズと1µFと0.1µFの1608サイズのコンデンサ)を戻してみた。それでも結果はあまり変わらなかった。さらに,TDKの3~4mmの大きさの三端子フィルター(コイルとコンデンサを組み合わせたもの)も入れてみた。するとノイズ全体が少し減ったような気もするが,Gms-g9 の直前のノイズの状況は変わっていない…。 もしかしたら何度かつけて外してという作業をしたので,熱でGms-g9 がへたっているかもと思っている。

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