2015年4月30日木曜日

GNSS/GPS ロガーの比較(その4):GPS ログの比較(その7)

 今回は GNSS/GPS ロガーの比較(その3):GPS ログの比較(その6)の続きにあたる投稿である。

 GNSS/GPS ロガーの比較第4弾である。 GPS ログの比較では第7弾にあたる。

 今回も使ったロガーは以下の4種類であり,そのうち3つが GNSS ロガーである。
 (1) Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unit
 (2) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー1号機,
 (3) GlobalTop 社が販売している Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー2号機,
 (4) ランニングエレクトロニクス社製 Gms-g9 基板を使用した GNSS ロガー 3号機
の4つ(2種類)である。

ロガー自体は前回から特に変更はない。 今回,久々に紀伊半島をたくさん走ったので,その際の GNSS/GPS ロガーの記録を比較してみた。

 今回も念のために2種類のロガーについて書こう。(前回からのコピペやけど…)
1つ目は Adafruit 社が販売している Ultimate GPS unitである。 これは MediaTek 社の MT3339 チップセットを心臓部に持つ GPS 受信ユニットであり,シリアル通信でログを吐くので,適当な記録装置があれば GPS ロガーとして使える。 これは GPS 衛星だけでなく,日本の準天頂衛星システム(Quasi-Zenith Satellite System、QZSS)の衛星である「みちびき」の電波を受信でき,さらに,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える。 少し前に GPS ロガーを作ってみよう〜♪ という投稿を書いているので,詳しいことはそちらを見てほしい。

2つ目は GlobalTop 社が販売している Gms-g9 unitと,OpenLog, Power Cell を組み合わせた手製の GNSS ロガー である。これは合計で3つ用意したので,1号機,2号機,3号機として区別している。 Gms-g9 は MediaTek 社の MT3333 チップを使った GNSS 受信ユニットである。 これはアメリカの GPS 衛星のみでなく,ロシアの GLONASS など他の衛星測位システム (GNSS) 用衛星の電波を使って位置情報を得るものである。 他にも,日本の「みちびき(準天頂衛星システム(QZSS))」の電波や,静止衛星を使った補正 (SBAS) の WAAS (USA), EGNOS (EUROPE), MSAS (日本) も使える(はず)ユニットである。 Gms-g9については, Gms-g9 を使った GNSS ロガーに挑戦してみた GNSS ロガー (Gms-g9 使用) の2号機を作る に書いているが,その後改良を加えている。 3号機に関しては,最近,ランニングエレクトロニクス社から発売されている Gms-g9 の breakout ボードを使っている。 詳しくはランニングエレクトロニクス社製 Gms-g9 基板使用 GNSS ロガー 3号機の製作を見て欲しい。

 今回は国道168号線を南下し,新宮市熊野川町日足から西に向かい,和歌山県道229号線で古座川町七川に抜け,潮岬から新宮,三重県道740号線,国道169号線を走って帰った。 そこでの GNSS/GPS ロガーの記録の比較である。 詳しくは,ツーリングの記録を見てみてほしい。 地図上のルートは今回のルートマップで見ることができる。 いつものように 4個の GPS/GNSS ロガーは,登山用の小さなデジカメ用バッグに入れて,全てアンテナが上を向くように配置して走った。

今回もログをポイントを絞って比較してみる。 それぞれのログは,適当な処理を施して Google Maps に表示できるようにした。 いずれも点の数が多いので,適当に間引く処理を行なっている。 ここではそれぞれのルートマップへのリンクは省略している。

(1) 国道168号線の風屋ダム付近
R168風屋 AdafruitR168風屋 Gms-g9 No.1
R168風屋 Gms-g9 No.2R168風屋 Gms-g9 No.3
 この付近は国道168号線が風屋ダムの貯水池に沿って走る区間である。 この区間では GlobalTop 社製の Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー2号機だけが,少しずれた結果を残している。 逆に,これまで一番結果が悪かった Adafruit 社製の Ultimate GPS unitを使った GPS ロガーがいい結果を残している。 これを見る限り,GNSS ロガー2号機以外には大きな差は見られない。

(2) 和歌山県道229号線の小口~畝畑区間
和r229和田川 Adafruit和r229和田川 Gms-g9 No.1
和r229和田川 Gms-g9 No.2和r229和田川 Gms-g9 No.3
 この区間は昭和30年代に作られた林道が県道に昇格した区間であり,道幅も狭く,断崖を削って道を作った,と思わる区間である。 GPS ログの比較(その2)(2013年4月)にこの区間のログ比較があるのだが, その際は,Garmin 社製の nuvi 3770V,Adafruit 社製 Ultimate GPS unit,TripMate 850 のログを比較していた。 その時の Adafruit 社製 Ultimate GPS unit の同じ和歌山県道229号線の小口~畝畑区間(長瀞橋付近と表記されている)から得られた経路ログは,かなりバラつきがあり,あまり道路をしっかりフォローしているとは言いがたい感じだった。 しかし,今回のログは4つの GNSS/GPS ロガー全てでかなりいい感じになっている。 GNSS ロガーはロシアの GLONASS を受信できるのでそれなりに精度が高いと思っているが,GPS ロガー(アメリカの GPS 衛星と日本のみちびきのみしか受信しない)の精度が格段によくなっている。2013年4月から2年ほど経っているが,なぜここまで結果が違うのかは不明である。 考えられる理由としては,アメリカの GPS 衛星の数が増えた(当時耐用年数の問題で衛星の数が少ない,という話があった),あるいは太陽の活動がましになった,などがあげられるが,はっきりとした原因は私にはわからない。

(3) 和歌山県道229号線の足郷トンネル付近
和r229足郷 Adafruit和r229足郷 Gms-g9 No.1
和r229足郷 Gms-g9 No.2和r229足郷 Gms-g9 No.3
 この区間も和歌山県道229号線だが,上の小口~畝畑間に比べると比較的新しく作られた道である。 そのため,道幅もある程度余裕があり,思ったよりも走りやすい区間となっている。 この区間に関しても,GPS ログの比較(その2)にログ比較がある。 そこには Adafruit 社製の Ultimate GPS unit のログがあるが,上記(2)「和歌山県道229号線の小口~畝畑区間」と同じく今回の方がログがいい。 今回のログは GNSS ロガーと較べても遜色ないぐらいの感じなので,2年前と現在では状況が違っているような気がする。

(4) 国道169号線の竹筒付近
R169竹筒 AdafruitR169竹筒 Gms-g9 No.1
R169竹筒 Gms-g9 No.2R169竹筒 Gms-g9 No.3
 この区間は国道169号線に残る狭路区間であるが,最近改良工事が行われ,近いうちにバイパスに置き換わりそうな区間である。 この区間に関しては,GPS ログの比較(その2)GPS ログの比較(その4):GPS, GNSS ロガーの比較(その1)に ログ比較がある。 この区間のログの結果も上記(3)「和歌山県道229号線の足郷トンネル付近」と同じく,多少ばらつきが見られるが,やはり2013年4月や2013年6月に比べると結果がよくなっているのがわかる。全体的にこのような傾向が見られるということは,やはり2013年と2015年でなんらかの違いがあると考えられよう。

(5) 三重県道40号線の丸山の千枚田付近
紀和町千枚田 Adafruit紀和町千枚田 Gms-g9 No.1
紀和町千枚田 Gms-g9 No.2紀和町千枚田 Gms-g9 No.3
 この区間は丸山の千枚田付近であり,この区間に関しても GPS ログの比較(その2)にログ比較がある。 2013年のログと比較してみると,Adafruit 社製の Ultimate GPS unit に関してはあまり大きな差は見当たらない。 なので,この区間を見る限りは2013年と2015年で大きな差は見られない。


 今回のログの比較では,使用した4種類の GNSS/GPS ロガーで大きな差は見られていない。 GNSS/GPS ロガーの比較(その3):GPS ログの比較(その6)(2014年7月)や,GNSS/GPS ロガーの比較(その2):GPS ログの比較(その5)(2013年7月)の時には,Adafruit 社製の Ultimate GPS unit を使った GPS ロガーは GlobalTop 社製の Gms-g9 ユニットを使った GNSS ロガー3台に比べて1台だけ結果が悪かったが,今回はそんなに遜色ない結果となっている。 また,2013年4月の GPS ログの比較(その2)の際と比べると, 同じ Adafruit 社製の Ultimate GPS unit でもかなりの差が見られる。 この結果を見る限り,どうも 2013年の初夏の頃は GPS の電波状況が悪かったように思う。

 ネット上の情報によると,GPS 衛星は 2013年5月から2015年にかけて6機が打ち上げられたらしい。もしかしたらそのおかげで精度がよくなったのかもしれない。しかし,この事はあくまで推測なので,本当は何が原因かがとても気になる結果となっている。

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